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健康講話

ロコモティブシンドローム(運動器不安定症)について

2011/03/ 2

ロコモティブシンドローム(運動器不安定症)について

 
                                        川口医師会整形外科部会
                                    井上整形外科 院長 井上 道夫

近年、メタボリックシンドロームが注目を受けて、しきりにメタボの健診を市町村や健康保険組合から健康診査の用紙が送られてきます。実は、整形外科ではいまロコモティブシンドロームに、日本整形外科学会を中心に対策を進めております。

 まず、ロコモティブとは運動器ということです。運動器とは身体活動を担う筋・骨格・神経系の総称であり、筋肉、腱、靭帯、骨、関節、神経、脈管系などの身体運動に関わるいろいろな組織・器官の機能的連合のことを言います。運動器の障害のために要介護となる危険性の高い状態を「ロコモティブシンドローム」と呼んで、その自己点検法や予防法を開発しようと提言されました。

ロコモティブシンドロームをきたす疾患として
脊椎圧迫骨折および脊椎の変形(亀背、高度腰椎後彎、側彎)
下肢の骨折(大腿骨頸部骨折)
骨祖鬆症
変形性関節症(股関節、膝関節)
腰部脊椎管狭窄症
関節リウマチ
下肢の切断
など上記の疾患が現在または過去にあり、かつ機能評価基準の自立度または運動機能の低下を示すものとされております。

機能評価基準
 日常生活自立度 ランクJまたはA(要支援+要介護1,2)
運動機能 1) 開眼片脚起立時間 15秒未満
     2) 3m Time up and go test 11秒以上
(2006年4月日本整形外科学会日本運動器リハビリテーション学会、日本臨床整形外科医会の連盟で発表)
 
運動器障害による介護
 上記の疾患により介護や寝たきりが問題になっています。要介護者の数はこの6年間で約2倍となり450万人に達しています。運動器の障害はそのうち5分の1を占めており、脳血管疾患と並ぶ2大原
因となっております。

運動器障害の重複
高齢者で問題になるのは、その患者数が多いだけではなく、上記疾患のように一人で複数の運動疾患を持っているということです。このために、1つの疾患によって他の疾患が誘発されてしまい、歩行障害をきたしていくという負の連鎖になっていく可能性が高いということです
 たとえば、右膝が痛いためにかばいながら歩行しているうちに、今度は左ひざが痛くなりそのうち腰まで痛くなっていくということがあります。これを予防するには、早期に的確な診断をして早目に治療を行い、負の連鎖にならないようにしなくてはいけません。

 
 

突発性難聴

2011/02/ 2

突発性難聴

 
                                        川口医師会耳鼻科部会会長
                                  谷崎耳鼻咽喉科医院 院長 谷崎 浩一

この病名を聞いた事がありますか。ある日突然に何の前ぶれもなく、通常片側の耳の聞こえが悪くなる病気です。ヒトの耳を外耳、中耳、内耳と3つに分けた時、最も内側にあたる内耳の異常が原因と言われています。かつては中後年の女性に多く見られましたが、最近では若い方や男性も多く、年齢や性別においての差は無くなって来ています。原因は未だ不明であり、内耳の血流障害説、ウイルスによる炎症説、の2つが主に言われていますがはっきりとした事はわかっていません。

「突発性難聴」の難聴のタイプはさまざまです。片側だけに起こる事が多く、耳鳴りや耳閉感を伴い、時に一過性のめまいを起こします。早期発見、治療が非常に大切で2週間~1ヶ月を過ぎると治りずらくなります。種々の内服(ステロイド剤、血流改善剤、代謝促進剤、安定剤等)を用いますが程度により点滴や入院加療を行います。高圧酸素療法、星状神経節ブロック注射などの方法を用いる事もあります。完治するのはおよそ3分の1、改善はするが症状が残る例が3分の1、改善の難しい例が3分の1と言われています。
また「低音障害型感音難聴」と言う、最近注目されている症状の似たタイプの難聴があります。違いをあげると、

      
突発性難聴      低音障害型感音難聴
通常再発はしない    再発する事も多い
難聴の症状が多い    耳閉感が多い 
めまいを伴う事あり    めまいは無い
    
       
などです。しかしこれらの事は絶対的ではありませんし、類似疾患も他にあります(メニエール病、外リンパ瘻「ろう」、聴神経腫瘍など)。

繰り返しますが早期治療開始が治癒の可能性を高めます。すぐに耳鼻咽喉科を受診する様にして下さい。

「原因不明の突然の難聴には注意を!」

 
 

足の皮膚病

2011/01/ 4

足の皮膚病

川口医師会皮膚科部会副会長
済生会川口総合病院皮膚科主任部長 加藤卓朗

足の皮膚病は健康を損ない、本人のみならず他の人にも多くの問題を起こします。具体的には、痒み・痛みのため日常生活に支障をきたす、悪化すると歩行障害の原因になる、抵抗力が低下した人では脚の切断に至る危険もある、さらに水虫を他の人へうつすなどです。

本稿では頻度の多い足の皮膚病(今回は爪を除く)を解説します。

足の皮膚病は、皮膚感染症、感染以外の機序による炎症性の病気、角化症、皮膚腫瘍、その他に分けられます。
皮膚感染症の原因は、細菌、ウイルス、真菌(かび)、虫などです。足で重要な細菌感染症は、蜂窩織炎(ホウカシキエン)です。
発熱と痛みのある皮膚の発赤と腫れで、糖尿病や下肢の循環障害があると発症・重症化しやすいです。抗生剤の内服や点滴を行います。
足に多いウイルス感染症は足底疣贅(ユウゼイ)(いぼ)で、皮膚の表面がざらざらして硬く厚くなります。冷凍治療を何度も行う必要があります。
真菌感染症では水虫が問題です。症状は、痒み、指間のじくじく、足底の水疱、かかとが硬く厚くなるなどです。顕微鏡検査で診断し、外用治療が基本ですが、内服薬を用いることもあります。

感染以外の機序による炎症性の病気は、接触皮膚炎(かぶれ)、掌蹠膿疱症(ショウセキノウホウショウ)などです。
接触皮膚炎は痒みのある紅斑や水疱で、ステロイド薬の外用を行いますが、原因の中止が必要です。掌蹠膿疱症は手足に膿疱が多発し、ステロイド薬やビタミンD3薬の外用を行いますが難治性です。

皮膚が硬くなる角化症で足に多いのは胼胝(ベンチ)(たこ)と鶏眼(ケイガン)(うおのめ)です。胼胝は隆起性に厚くなり、痛みは軽度で、硬い部分を削ります。鶏眼は中央が眼のようになり、強い痛みがあります。眼の部分を削りますが、再発が多いです。

さらに皮膚腫瘍では皮膚がん、悪性黒色腫に注意が必要で、その他にやけど、けが、糖尿病患者さんでは壊疽(エソ)が問題になります。

 
 

感染性胃腸炎について

2010/12/ 3

感染性胃腸炎について

川口医師会内科部会
(医)東峰会 粂川内科医院 理事長 粂川幸雄

 ノロウィルスに代表される感染性胃腸炎は毎年11月~4月に好発する。症状は7割が急性胃腸炎(吐き、くだし)であり、3割がかぜ様症状(せき、のど痛、はなみず)を伴なう。
また1割には38度代の発熱もある。体力の弱い小児や高齢者に発症し易く感染力が強い。
このウィルスは4度の水中で2ヶ月、室温で2週間生きている。熱に強く殺菌するには85度で1分間かかる。酸にも強く通常の胃液中では失活せずに生きていられる。

 この様なウィルスには以下の対処法がよいとされている。

①患者の吐物や便の処理にはマスクをし手袋をする。
②吐物は0.1%次亜塩素酸Na消毒液(漂白剤)を浸み込ませたペーパータオルで取り除きそのまま捨てる。
③患者の触れたタオル、ドアノブ等は上記の消毒液で清拭する。
④処理後は手洗いを徹底する。

以上の点に注意しながら心身の安静を心がけ、やわらかくて消化の良いものを食べて胃腸を休ませて下さい。
また、おう吐、下痢が強く体液のロスが大きい時はスポーツドリンク等で電解質を少しずつ分けて補充しましょう。
症状の強い場合は医療機関を受診して下さい。

 
 

"過活動膀胱"について Overactive Bladder(OAB)

2010/11/ 1
川口医師会泌尿器科部会会長
 
(医)社団埼仁会 埼仁クリニック
理事長 荒 隆一

"過活動膀胱"について Overactive Bladder(OAB)

"おしっこをしたいと思うと、もう我慢ができずトイレにかけこむ!" 
"時に尿が漏れてしまう!"
"昼夜の排尿回数が多く、睡眠不足など生活に支障をきたしている!"

この様な状態が"過活動膀胱"で、膀胱に尿がたまりにくくなる畜尿障害の症状です。

単なる加齢(Aging)による骨盤底脆弱化や膀胱の筋力低下だけではなく、脳血管障害・認知症(アルツハイマー病含)・パーキンソン病・脊髄疾患・多発性硬化症・頸椎症・脊椎管狭窄症・前立腺肥大症など多様な病気によっておこり、高齢化社会の日本では40才以上の男女・7人に1人、1000万人をこえる人が悩んでいる病気です。

過活動膀胱は睡眠不足・活力の低下に加えて精神的負担が重く、仕事・家事など生活全般のQOLを低下させ、ひいては対人関係にも支障を及ぼします。

次のスクリーニングテストをチェックして下さい。

□ 尿をする回数が多い
□ 急に尿がしたくなって我慢が難しいことがある(尿意切迫感)
□ 我慢ができず、尿をもらすことがある

チェックが1つ以上ある人は過活動膀胱の可能性があり、尿意切迫感(Urgency)が週1回以上で、頻尿(1日8回以上)と夜間頻尿(排尿のため1回以上起きる)の愁訴があれば過活動膀胱と診断されます。前立腺肥大症患者の50~75%が過活動膀胱といわれます。

過活動膀胱は①行動療法と②薬物療法との併用で治療します。

行動療法としては、トイレ習慣の変更・トイレ環境の整備・着衣の工夫などの生活指導、膀胱訓練や理学療法の骨盤底筋訓練等があります。
薬物療法は過活動膀胱治療の根幹で、その主役は抗コリン薬・現在5種類の薬があり、いずれも有効性が認められています。
しかし抗コリン薬はその抗ムスカリン作用の副作用に注意が必要です。便秘症・唾液減少による口内乾燥や眼圧が上がることがあり、閉塞隅角緑内障の人などには使用できません。

市民の皆様! "過活動膀胱"の不快な症状を年のせいとあきらめないで、主治医や泌尿器科医に是非ご相談ください!!

 
 

進化を続けている痔核の手術

2010/10/13
川口医師会外科部会
 
医療法人社団 杉浦医院 理事長
杉浦敏之

進化を続けている痔核の手術

 痔核に対する手術は「痛みが辛い」と思われている方も多いと思います。しかし、最近は痛みが少ない方法が開発されてきています。以前からある手術は「ミリガン・モルガン法」が主流で、痔核自体を摘出するものでした。この方法は痔核を摘出することによりできる傷を一部開いたままにしておく必要があるため術後の痛みがあり、特に排便時には辛いものでした。

それに対し、最近はPPH (Procedure for Prolapse and Hemorroid)や痔核硬化法が開発され、術後の痛みはかなり軽減されるようになって来ました。PPHは痔核上流の直腸粘膜を器械で縫い縮めると同時に痔核への血流を遮断することにより、痔核を小さくしてしまう方法、また硬化法はその名のとおり痔核に硬化剤を注射して小さく固めてしまう方法です。

双方とも痔核そのものを摘出せず、また開いたままの傷がないため痛みが少なくなりました。

川口市内にもこのような方法を行っている基幹病院がありますので痔核でお悩みの方は問い合わせてみることをお勧めします。

 
 

子宮頚癌予防ワクチンを巡る話題

2010/09/ 1
川口市立医療センター 病院事業管理者
日本大学医学部 客員教授
栃木 武一

子宮頚癌予防ワクチンを巡る話題

 女性にとって重要な癌検診は乳癌と子宮癌検診である。
川口市における平成20年度の両者の癌検診状況については、乳癌検診受診率(マンモグラフィ受診者のみ)が4.5%、子宮癌検診受診率(妊婦健診分は除く)が14.6%と極めて低く、癌の早期発見・早期治療の立場からすると地域における癌検診率の向上は女性のQOLの立場からばかりでなく地域保健の観点からも重要な課題である。この様な現状下で子宮頚癌については近年子宮頚癌発生にウイルスが関与するという見解から、子宮頚癌予防ワクチンが開発され癌予防の面から現在社会的に注目されている。そこで今回、子宮頚癌予防ワクチンを巡る話題を中心として子宮癌検診の意義についても述べる。

 子宮頚癌予防ワクチンの開発は1983年子宮頚癌よりヒトパピローマウイルス(HPV)が分離同定されたことに始まる。現在HPVは100種類もの型が同定されており、その中でもHPV16型と18型が子宮頚癌の発生因子の1つとして注目され、今回のワクチンが外国で開発された。
本邦においては昨年12月にある製薬会社のHPV16型、18型のワクチンの一般使用が認可され、今年の4月以降にも別の製薬会社からHPV6型、11型、16型、18型のワクチンの一般使用が許可される予定である。
欧米においては16型、18型が主流であるとされているが、16型、18型以外のHPVが子宮頚癌から検出されていることもあり、他の型のHPVの関与も重要であると思われている。
一方、HPV感染による子宮頚癌発症は性行為関連感染であるが、これらのウイルスは健常者の子宮膣部からも検出されており、必ずしも検出されたから子宮頚癌になるとは限らない。
しかしながら、もし健常者でHPVのDNAとそれに対する抗体を保有する場合はワクチン接種をしてもその予防効果は殆ど認められないとも言われている。そこでワクチンに対する予防効果はどの程度あるかという点については、性交開始前の女性では70%の予防効果があるとされており、通常の一般女性の場合、25歳で50%、45歳で30%程度の予防効果を示すと考えられている。
そこで、現在ワクチン接種開始年齢が注目されており、日本産科婦人科学会・日本小児科学会のステートメントではHPVワクチンの対象者を性交未経験者の11~14歳学童女子を優先接種対象として考えている。
 
 これからの未来ある子供達のことを考えればワクチン接種により最低でも70%の予防効果を発揮することは極めて重要である。
しかしながら、これらの子供達に対して、性教育を含めて子宮頸癌予防ワクチンの重要性や必要性を理解してもらう事は教育現場での大きな課題となるものと思われる。

 次に、癌の早期発見という点からすれば、ワクチンを取り扱っている製薬会社の内容説明でも述べられているように、平行して子宮癌検診を必ず行うことが癌の早期発見に繋がるとして、今までと同じ様に癌検診を行うことが重要であるとしている。
更に、このワクチンは高価であり、しかも接種は6ヶ月間に3回の筋肉注射を実施しなければならないなど、今後一般的に普及させるためには幾つかの問題となる点があるものと思われる。
いずれにしても今回の子宮頸癌予防ワクチン問題は女性の健康を守るために広く社会的に子宮頚癌に対する重要性をアピールする為の絶好の機会となったと思われる。子宮頚癌に対して予防と検診という二重構造での体制は子宮頸癌の発生を未然に防ぎしかもその早期発見・早期治療を現実的なものにするばかりでなく、子宮頸癌による死亡率の低下にも繋がるものと確信している。
従って、ワクチン接種を行って子宮頚癌の予防を終わるのではなく、現在実施している子宮癌検診事業の推進が更に重要となることを広く一般の人々にも再認識して欲しい。
しかも、子宮癌検診は子宮頸癌ばかりでなく子宮体癌や卵巣癌の早期発見に重要であるばかりでなく、子宮筋腫や良性卵巣腫瘍を含めた各種良性疾患の発見にも貢献していることも最後に強調して、『子宮頸癌予防ワクチンを巡る話題』の健康講話を終了いたします。

 
 

夏にかけて流行していく感染症及び肺炎球菌ワクチンについて

2010/08/ 1
川口医師会園医部会会長
なかち小児科医院院長 仲地 正宜

夏にかけて流行していく感染症について

 これから暖かくなっていくにつれて園児の間で流行していく感染症に1手足口病、2ヘルパンギーナ、3伝染性紅斑(俗称りんごほっぺ病)などがあります。これらは一般的には軽症で済む事が多く、主要症状(発疹、口内炎、発熱など)が治まり医師の診断があれば登園可能となります。しかし、1,2では髄膜炎や心筋炎などを3ではある種の血液基礎疾患があると造血障害発作を起こしたり、妊婦に感染すると胎児水腫をきたすこともあり注意が必要です。また、1,2は原因となるウイルスがエンテロウイルス属といって腸管内で増殖して、症状が消失しても数週間便中に排池され続けるといわれ、子供たちの手洗いだけでなく、保護者や保育者が行うオムツの処理やその後の手洗いを厳重にする必要があります。

肺炎球菌ワクチンについて

小児の髄膜炎を起こす二大起炎菌のうち、b型インフルエンザ菌(Hib)のワクチンが去年発売となり接種が開始されました。もう一つの起炎菌である肺炎球菌ワクチンが今年の2月末に発売となり接種が始まりました。生後2カ月以上から9歳以下まで接種可能ですが、5歳以下(特に乳児)は危険年齢ですので医療機関での接種をお勧めします。
 
 

動脈硬化の早期発見について

2010/05/ 1
徳竹英一

はじめに

 わが国において心筋梗塞・脳梗塞などの動脈硬化疾患が増加しております。その危険因子として高血圧症、脂質異常症、糖尿病、肥満、喫煙などが挙げられます。これらの危険因子を有しても初期のうちは自覚症状が認められず、血管の動脈硬化巣の破綻により突然に心筋梗塞や脳卒中を発症します。そのためにこれらの危険因子はサイレントキラーといわれています。危険因子をお持ちの方は、心筋梗塞・脳卒中を発症する前に動脈硬化の程度を検査することが大切であります。
 頸動脈エコー検査は超音波を用いて頸動脈の状態を調べる検査です。頸動脈は全身の血管状態を映す『窓』とされていて、頸動脈検査により全身の動脈硬化の状態を把握することができます。

IMT測定の意義

 1986年にPignoliらがBモード超音波画像を用いて測定した内膜中膜厚と死体解剖時に測定した病理学的な内膜中膜厚とを比較したところ、両者に有意な相関が認められ、IMT測定の妥当性が報告されています。
 IMTを進展させる因子として動脈硬化の各危険因子が上げられます。年齢はIMTと高い相関を示す危険因子であり、加齢とともにIMTは肥厚を示し、健常者における年間進展率は0.008mmとされています。一方、生活習慣病患者においてIMTは明らかな肥厚を示し、糖尿病では年間進展率は0.016mmと健常者の2倍の進展率を示します。さらに冠動脈バイパス術後患者においては年間進展率0.021mmと著明な進展を示します。性差では女性に比べて男性では進展率は高値を示すとされています。

頸動脈エコー検査の方法

pic_column01.jpg pic_column02.jpg 頸部に超音波の探触子を当てて左右の頸動脈を観察します(写真1)。
そして、頸動脈の内膜と中膜の厚さである内膜中膜肥厚度(IMTと略す)を測定して動脈硬化度を表します。
また、同時にコレステロールの溜りである動脈硬化巣の有無も観察します。
この検査は痛みや苦痛を伴うことなく、左右合わせても通常10分程度で終了します。
図1は8.5MHzの探触子を用いた頸動脈超音波画像ならびに頸部の解剖を対比しました。


頸動脈エコー検査でわかること

pic_column03.jpg pic_column04.jpg 1)頸動脈の動脈硬化の有無とその程度
 正常者のIMT値は1.0mm以下を示す。
2)頸動脈の動脈硬化巣、血管の細さや血栓の有無
3)全身血管の動脈硬化度の推定

実際の測定例

58歳の男性で、H21年5月9日に胸痛を訴えて来院した。
頸動脈エコー検査において、3.1mmのプラーク病変、ならびに血液検査では炎症所見高値(hsCRP 0.186mg/dl) とLDL-Cは111mg/dl、TGは204mg/dlを認めた。当患者は狭心症が否定されず脂質異常症の治療をおこなったところ、6カ月目で動脈硬化巣は2.3mmに縮小した(図2)。またIMTは投与前0.6mmから治療後0.49mmに退縮を示した(図3)。


最後に

このようにIMTの測定は脂質低下薬をはじめ抗動脈硬化薬の治療効果の判定にも有用であります。また、本検査は簡便であり、非侵襲的であり、さらに安価でもあって外来において実施可能な検査であります。そのために早期動脈硬化の診断ならびに動脈硬化の重症度評価のためには欠かせない検査となっています。今後もIMTの測定が動脈硬化の早期診断に役立つことを祈念いたしております。